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『NEWSを疑え!』第262号(2013年12月12日号)

『NEWSを疑え!』第262号(2013年12月12日号)
【今回の目次】
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆日本の国会は弱体。米議会との落差
◆米国の議員スタッフは1万人超
◆「回転ドア」が専門家を育てる
◆議会補助機関の高度な能力
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・テロの定義は自衛隊法にあるよ
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・台風で露呈したフィリピン海軍の能力低下(西恭之)

◎編集後記
・F-35と特定秘密保護法

◇◆日本の国会は弱体。米議会との落差

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:2013年秋の国会は、アベノミクス3本の矢の3本目「成長戦略」がテーマかと思ったら特定秘密保護法案の話がもっぱらで、12月6日にはあっさりと成立してしまいました。この経緯を見ても問題だと思うのは、とにかく賛成ありきの「賛成」、逆に最初から反対ありきの「反対」、党勢拡大や党首の党内基盤固めのための「修正」に終始した議員たちの態度。現状はどうで、それを日本の国益のため日本国民の利益のために、何をすべきなのか、という議論が一向に深まらない。背景にある国会機能そのものの弱さについて、小川さんの考えを聞かせてください。

小川:「日本の国会の弱さは、たとえばアメリカ議会と比べると際立っています。これをアメリカの水準に近づける努力をしなければ、いくら法律や制度を整えて国会審議を重ねても、もともとの絵を描いた官僚の思惑どおりになってしまう。そうした官僚機構が描く構想も、カニは自分の甲羅に合わせて穴を掘るのたとえ通り、スケールの小さな、世界に出して通用するものではありません。その結果、日本は『官僚制社会主義』とでも呼ぶべき状態のままで、国の基本的なシステムである民主主義が満足に機能しないわけです」

「実例を挙げましょう。日本人10人が亡くなり、このメルマガ(2013年3月14日号)でも取り上げたアルジェリアの人質事件を受けて11月15日、緊急時に自衛隊による在外邦人の陸上輸送を可能にする改正自衛隊法が国会で成立しました。これまで航空機や船に限定されていた輸送手段に車両を追加し、搬送対象者も事件や事故に巻き込まれた当事者に加えて『家族その他の関係者』へと拡大したのです」

「この法案については、民主党が途中で修正案を出し、自衛隊の武器使用の条件について継続的に話し合うことで折り合いました。ところが、在外邦人の脱出に自衛隊が関与するならば、そもそも法案を成立させる前に、陸海空どのルートを使うにせよ自衛隊のどの部隊を何人規模で出すのか、それにはどのくらい時間がかかるか、どんな輸送手段を持っていくか、といった点を具体的に詰めておかなければ、意味がないでしょう。その議論を国会はまったくしていません

「アラブの春でリビアが内戦状態に陥った2011年初め、各国は空軍の輸送機、海軍の艦艇、民間からチャーターした航空機やフェリーなどを続々リビアに送り込み、自国民を脱出させました。バスやトラックなどの陸上輸送機関もフルに活用しました。しかし、わずか37人の自国民しかリビアにいなかった日本は、何の手を打つこともできず、各自が各国の手配船などに便乗するのにまかせただけでした。日本大使館は2011年2月25日に閉鎖となり、チェニジアに撤収しましたが、日本は結局、邦人37人を国外に脱出させることができなかったことになります。中国は10日間で4万2600人を、韓国も早い段階で1400人を脱出させたのに、です」



中国軍機4機は3日間で1700人をリビアからスーダンへ脱出させた

(写真は同型機イリューシン76の2011年パキスタン水害派遣)