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『NEWSを疑え!』第260号(2013年12月5日号)

『NEWSを疑え!』第260号(2013年12月5日号)
【今回の目次】
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆ディザスター・シティを知ってますか?
◆『本物の訓練』をする場所
◆世界中の18万人が訓練を受ける
◆求められる日本型『ディザスター・シティ』
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・イランは2005年に提案した核合意を勝ち取った
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・中国空母が海南島沖でやっていること(西恭之)
◎編集後記
・安倍政権の対中姿勢は高得点

◇◆ディザスター・シティを知ってますか?

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:お雇い外国人がテーマだった前回のメルマガでは、アメリカで「ディザスター・シティ」と呼ばれている施設を近く具体的に紹介したい、ということでした。2013年は台風の当たり年で、大雨による河川氾濫や浸水、大規模な土砂崩れ、竜巻被害など自然災害が相次ぎました。フィリピンを襲った台風の犠牲者も1万人規模と見込まれています。早速今回、紹介してください。

小川:「わかりました。1995年1月の阪神・淡路大震災の1か月半後、私がロサンゼルスに飛び1年前のノースリッジ地震についてリサーチしたこと、このときロサンゼルスのどの消防署に行っても訓練用の巨大ながれきの山があって感心させられたことは、前回すでにお話ししました」

「アメリカには、そんな消防署ごとの訓練施設だけでなく、それらを集大成した世界最大にして最高峰の災害訓練施設、『ディザスター・シティ』という施設があります。これを設置・運営しているのは、TEEX(Texas Engineering Extension Service)という団体です。『ティークス』と呼びます」

「TEEXは、テキサスで最大、アメリカでも7番目に大きい州立『テキサスA&M大学』の関連団体の一つです。雇用者は約1300人、年間予算は8250万ドル(約80億円、2011年度)ですが、およそ80%を教育訓練の受託によってまかなっており、州政府の支出は8%にすぎません」

「『Extension Service』は、学生以外の社会人が受講できる公開講座のことをエクステンション講座と呼ぶ日本の大学があるように、大学の学外向け活動のこと。つまりTEEXは、テキサスA&M大学の『テキサスA&M技術学外事業』です。その歴史はたいへん古く1929年、つまり世界大恐慌のあった年に、テキサス州消防協会がテキサスA&M大学を州の消防専門訓練学校として認定して以来、消防や緊急対応についての教育訓練を提供しています」

「ご存じのとおりテキサス州は、石油が出ますし、広大な農場が広がり、NASA(航空宇宙局)の宇宙センターもありますから、テキサスA&M大学は、地学・石油工学、化学、農業・生命工学、機械工学などの研究水準では世界トップクラス。巨大企業から巨額の寄付金も集まります。しかも、石油火災のような災害が発生する恐れが身近にありますから、昔から防災教育や訓練に力を注いできたわけです」

「こうしたアメリカのシステムが、日本とはまったく異なることに、まず着目してください。日本の大学や教授たちは、まさに『象牙の塔』の中に閉じこもり、社会や俗世間から距離を置くことで自らの権威を高めようとしているでしょう。しかし、アメリカの学問は最初から実学で、いかに世のため社会のためになるかを重視します。だから企業は大学に巨額の寄付をします。大学が、大規模な災害訓練施設を必要と思えば、政府に造ってほしいなどと頼まず、さっさと自分でつくるわけです」